障がいのある方が遺言書を作成するために
障害のある方が、ご自身の意思で「大切な人に財産を遺したい」「お世話になった場所に恩返しをしたい」と考え、遺言書を作成することは、自律的な行為として非常に重要な決断です。
しかし、障害の特性によっては、後にその有効性が争われないよう、法律面でいくつかのハードルを越える必要があります。
今回は、障害のある方ご本人が遺言書を作成する際のポイントと注意点を解説します。
「自分がいなくなった後、ずっと支えてくれたあの人に感謝を伝えたい」
「身寄りがないので、自分が亡くなった後の財産を支援団体に役立ててほしい」
障害をお持ちの方から、このようなご相談をいただく機会が増えています。
障害があるからといって、遺言が書けないということは決してありません。ただし、手続きを確実なものにするためには、「遺言能力」の証明と「形式」の選択が極めて重要になります。
1. 最大のポイントは「遺言能力」の確認
遺言が法的に有効であるためには、作成時に「遺言能力(自分の行動がどのような法的結果をもたらすかを理解する能力)」があることが前提となります。
医師の診断書を準備する
精神障害や知的障害がある場合、後から親族などが「書いた当時は判断能力がなかったはずだ」と遺言の無効を訴えるトラブルが起こり得ます。
作成当日に十分な判断能力があったことを証明するために、主治医による診断書を取得しておくことが推奨されます。
成年後見制度を利用している場合
成年被後見人の方が遺言をする場合は、民法により「事理を弁識する能力を一時回復した時」において、「医師2名以上の立ち会い」が必要と定められています。
非常に厳格なルールがあるため、専門家との連携が必須です。
2. 「公正証書遺言」を強くおすすめする理由
遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」もありますが、障害のある方の場合は「公正証書遺言」を強くおすすめします。
公証人の関与:法律のプロである公証人が、ご本人の意思を確認しながら作成するため、形式不備で無効になるリスクがほぼありません。
身体的負担の軽減:手が不自由で文字を書くことが困難な場合でも、公証人が内容を聞き取って代筆する(口授)ことが可能です。また、耳が不自由な方や言葉を発するのが難しい方の場合は、手話通訳や筆談を通じて作成することも認められています。
原本の保管:遺言書の原本は公証役場で厳重に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。
3. 「誰に遺すか」と「その後」の指定
ご自身に法定相続人がいない場合、あるいは特定の誰かに財産を集中させたい場合は、以下の点に注目しましょう。
遺贈(いぞう):法定相続人以外の人(友人や支援者)や、特定のNPO法人・自治体に財産を贈ることを遺言で指定できます。
遺言執行者の指定:自分が亡くなった後、実際に銀行口座を解約したり不動産の名義を変えたりする「実行役」をあらかじめ決めておきましょう。信頼できる専門家(司法書士や弁護士など)を指名しておくと、死後の手続きがスムーズに進みます。
4. 付言事項に「想い」を込める
遺言書には、財産分けの指定だけでなく、「付言事項(ふげんじこう)」としてメッセージを添えることができます。
「なぜこの配分にしたのか」「これまで支えてくれたことへの感謝」などを自身の言葉で書き残すことは、残された人たちへの最大の心の贈り物になります。また、これが遺言の真実味を裏付けることにも繋がります。
まとめ:納得のいく準備のために
障害のある方の遺言作成は、お一人で進めるには不安な点も多いかと思います。
「自分の意思が正しく伝わるだろうか」「手続きの途中で体調を崩したらどうしよう」といった悩みは、専門家に委ねてください。
私たちは、ご本人の意思を尊重し、体調や特性に配慮しながら、法的にも感情的にも納得できる遺言書の作成するお手伝いをしています。
あなたの想いを、確かな形にして未来へ繋げるために、まずはゆっくりと相談をすることから始めませんか?
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- Posted on 6月 10, 2026 at 3:30 PM
- Written by プロフィナンシャルサービス_ブログ
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