遺言の撤回はできる?遺言の撤回と新しい遺言作成の手順について解説
遺言書は、相続人や受遺者に対する故人の最終的な意思を示す重要な書類ですが、作成後に事情が変わることもあります。
そのため、法律では遺言の撤回や変更を認めており、適切な手続きを行うことで新しい意思を反映させることができます。本記事では、遺言の撤回方法や注意点について解説します。
1. 遺言の撤回とは?
遺言の撤回とは、既に作成した遺言書の内容を無効にし、新しい意思を示すための手続きを指します。遺言者の自由な意思によって、いつでも遺言を撤回したり変更したりすることが可能です。ただし、法的に有効な形で撤回しないと、トラブルの原因となることがあります。
2. 遺言の撤回方法
遺言の撤回には、いくつかの方法があります。以下に主な撤回方法を紹介します。
(1)新たな遺言の作成
新しい遺言を作成し、以前の遺言と異なる内容を記載することで、過去の遺言を撤回できます。民法第1023条では「後の遺言が前の遺言と抵触する場合、その抵触する部分は撤回されたものとみなされる」と規定されています。
(2)物理的な破棄
遺言書を破棄することも撤回の方法の一つです。例えば、自筆証書遺言を破り捨てたり、焼却したりすることで遺言の効力を失わせることができます。ただし、誤って破棄した場合や、第三者が勝手に破棄した場合など撤回と区別がつかない可能性があります。
(3)遺言の内容に反する法律行為
例えば、遺言で「Aに不動産を相続させる」と記載されていたにもかかわらず、生前にその不動産を第三者に売却した場合、遺言の対象となる財産がなくなるため、その部分は撤回されたものとみなされます(民法第1023条)。
(4)公証人の前で撤回を宣言する
公正証書遺言を作成した場合、同じく公証人の前で撤回を宣言し、新たな公正証書遺言を作成することができます。これにより、確実に新しい意思を反映することができます。
3. 遺言撤回時の注意点
遺言の撤回を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
(1)適切な方法で撤回を行う
遺言の撤回は法的に認められた方法で行う必要があります。口頭で「撤回する」と述べるだけでは効力が発生しないため、正式な手続きを踏むことが重要です。
(2)遺言書の保管状況に注意
撤回の意思を示しても、以前の遺言書が相続人に見つかり、それが正式な遺言として扱われる可能性があります。確実に撤回するためには、古い遺言を破棄し、新しい遺言の存在を信頼できる人に伝えておくことが重要です。
(3)相続人とのトラブルを防ぐ
遺言を撤回することで、相続人間の争いが生じる可能性があります。遺言の変更や撤回を行う際には、家族や専門家と相談しながら進めることが望ましいでしょう。
4. 遺言撤回後の対応
遺言を撤回した後、新たな遺言を作成しないまま亡くなった場合、遺言がないものとして法定相続(民法第887条~第890条)が適用されます。これにより、遺産分割が相続人間でに必要になるため、遺言の撤回後には速やかに新しい遺言を作成することが望ましいです。
また、新たな遺言を作成する際には、公正証書遺言など法的に間違いのない方法を選択すると、撤回後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
遺言の撤回は、遺言者が自由に行えるものですが、適切な方法を取らないと法的に意思と異なる結果となる場合があります。新たな遺言の作成や物理的破棄など、状況に応じた方法で撤回を行うことが重要です。
また、撤回後の相続トラブルを避けるためにも、司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。自分の意思を確実に残し、円滑な相続を実現するために、適切な遺言の管理と更新を心掛けましょう。
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- Posted on 2月 26, 2025 at 1:19 AM
- Written by プロフィナンシャルサービス_ブログ
- Categories: 相続支援