遺言書の書き方 〜文例だけでは危ない理由〜
「遺言書の書き方」と検索すると、ネット上にはたくさんの文例やテンプレートが見つかります。これを参考にすれば、自分でも簡単に遺言が書けそうだと思うかもしれません。
しかし実は、文例をそのまま真似して作成した遺言書が、思わぬ落とし穴となり、後に大きなトラブルを引き起こすケースが少なくありません。
今回は、なぜ文例だけで遺言書を作成するのが危険なのか、そして正しい遺言作成のために何が必要かを解説します。
1. 文例を参考にした遺言書の落とし穴
インターネット上の文例はあくまで一例であり、すべての人に当てはまるわけではありません。家族構成、財産の内容、関係性、希望する分配方法は人によって大きく異なります。そのため、自分の状況に合っていない文例を使うと、以下のような問題が発生します。
- 誰に何を渡すかが曖昧で相続人間で争いになる
- 財産の特定が不完全で、実際の相続時に分けられない
- 遺言の効果が及ばない財産を指定している(例:売却済の不動産)
- 法律的な要件を満たしておらず、遺言自体が無効になる
一見「それらしく」見える文章でも、実際には意味が不明確だったり、誤解を招く表現が使われていたりすることが多いのです。
2. 書き方のミスが引き起こす重大な結果
たとえば「長男にすべてを相続させる」と記した遺言があったとします。一見簡潔で明確なように見えますが、「すべて」とは何を指すのか? 他の相続人の遺留分はどうなるのか? 書き手の意図はどこまで法的に有効なのか? という点の考慮がされていないと、他の相続人が納得せず、遺言があることで、かえって残された大切な家族がバラバラになってしまう事態に発展する可能性があります。
また、「○○銀行の預金を渡す」と書いたつもりでも、支店名や口座番号がないことで特定できず、金融機関が対応できないこともあるのです。
3. 自筆証書遺言には厳格な要件がある
特に自筆証書遺言には、「全文自筆」 「日付の明記」 「署名押印」など、形式的な要件が細かく定められています。文例を参考にしても、日付を忘れていた、押印をしなかった、財産目録が適切でなかった、というだけで無効になるケースが実際に起きています。
4. 専門家の助けで「意味のある遺言」に
遺言書は単なる形式ではなく、法的効果を持つ重要な文書です。自分の想いを正しく、確実に実現させるためには、「法律の知識」と「表現の精度」が求められます。文例を参考に内容をイメージするのは第一歩としてとても良いことです。しかし、実際に遺言書を作成する司法書士や弁護士といった専門家の「法的」 「表現的」なアドバイスを受けることで、はじめて「意味のある遺言書」になります。
専門家は、文言の妥当性や財産の特定方法、遺留分への配慮、万が一のケースに備えた記載(予備的遺言)など、細やかな点まで確認し、アドバイスしてくれます。
まとめ
遺言書は、あなたの大切な想いを形にする最後のメッセージです。その作成を、ネットの文例だけに頼るのは、あまりにも危ういと感じませんか?
文例はあくまで参考程度にとどめ、自分に合った内容を正しく記載し、そもその自分にはどんな内容が合っているのかを知るために専門家の力を借りる。それが、安心と確実性を備えた「本当に意味のある遺言書」への第一歩です。
思い立った今こそ、しっかりとした遺言書の準備を始めてみてはいかがでしょうか。
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- Posted on 6月 4, 2025 at 1:48 PM
- Written by プロフィナンシャルサービス_ブログ
- Categories: 相続支援